こんにちは。
たまには昔話をしてみようと思います。
今回は、とある会社のとある部署で取り組んだ、業務のマニュアル化に取り組んだときの失敗談です。
業務のマニュアル化に期待すること
マニュアル化は、業務を標準化をして、属人性を減らし、ミスを減らす効果を期待します。
そんな、大きな期待を抱いてしまう、せっかくの業務のマニュアル化も、
なんとなくでやると、次々と問題が出てくるぞ、気をつけろ!
というのが概要です。
「マニュアル化」といっても、組織や業務によって最適解は異なります。(わかっとるわ!)
でも、失敗談はアンチパターンとして参考になるんですよ。
業務の標準化やマニュアル化を進めている人の参考情報になれば幸いです。
昔々、とある会社のとある部署で、業務手順のマニュアル化に取り組んだそうな
感覚でやっている業務を文字に起こそうとした、原始期
昔々、とある会社のとある部署のBossが業務改善に取り組み始めました。
「これからは業務における属人性を排除していこう!」
「そうだな、そのためには記憶と口頭説明ではなく、マニュアル化していこう!」
「そうだな、そのためには記憶と口頭説明ではなく、マニュアル化していこう!」
2005年〜2010年ごろ(昔々の設定がさっそくどっかにいってしまった・・・)って、「業務改善 ≒ 属人性の排除」ぐらいのブームだったと聞いています。
特に、とある部署は一応成長時期だったらしく、そんな組織にありがちな先にいる人がなんとなくやっていた作業を雰囲気で継承しながら、個人依存で現場が回っている状態だったようです。
「取引先からこんなこと依頼されてるけど、この件ってAさんしか知らないよねー」
そんな作業が多かった。(知ってても面倒やからこう言うとけ、ってのもあるかもしれないけど)
人に依存した作業がありすぎなのは困るぞ、なんとかせんとってな感じです。
そこで👆のBossの指令に繋がるわけです。
ちなみに、私が入社したごろは、この取り組みの中盤〜終盤ぐらいでした。
とにかく作業手順を書き起こしてマニュアル化し始めたアクセル期
Boss「できることを片っ端からやっていけー!」
やることは徹底的にやる、Bossの性格を色濃くでていますねー
「最初からアクセル全開で走り出して引きずり回された、もう無理・・・」というセリフを残して去ってしまった人がいるとかいないとか、いないよね?
引きずり回されたと言いながらも、やる作業、やる作業、を1つずつマニュアル化していきました。
誰でもそのマニュアルを見たらわかるようにする、それを実現するためにした工夫は手順の1つ1つを細かく細かく記録した手順の1つ1つを細かく細かく記録することでした。
能力による理解の誤差をなくそうという作戦です。(詳細は後述)
作業手順が一通りマニュアル化された安静期
このマニュアル化の取り組みは数年続き、そして、とうとうとある会社のとある部署の定型作業のほとんどがマニュアル化されました。
マニュアル化されたものであれば、1度教われば誰でもできる、ユートピアの実現です。
おつかれさまでした!
めでたし、めでたし。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
すみません。おわりません。
このブログは、タイトルの通りここから始まります。
業務をマニュアル化して、ユートピアだと喜んでいた裏で生まれた問題が本題ですよ。
マニュアル化を進めたことで生まれた問題5選
ここからこのブログの本題となります。
紹介するのは、とある会社のとある部署がやっちゃった失敗談、つきましてはくれぐれも
真似しないように
お願いします。
手順を書き記したマニュアルが量産、後に記載手順の意図が誰もわからない問題
👆のBossの指令が出たころ・・・
兎にも角にも、マニュアル化!
手順の1つ1つを細かく細かく記録した手順の1つ1つを細かく細かく記録することが工夫ポイントとして合意していたので、説明文は以下のような感じになります。
- クリックします
- ○○○○○と入力します
- クリックします
- ××××を選びます
よく言えば、シンプルなマニュアルにはなるので、日常的に使うぶんには困りません。
しかし、後からその手順の意図・意味がわからなくなることが往々にしてあるからです。
なんなら、作った人すら知らない。誰も知らない。
「この作業、そもそもなんのためにやってんの」
っていう声が聞こえてきたら注意・警戒を怠らないほうがいいかもしれない・・・
マニュアルの利用者の想定を新人としたため、平易な表記にしたので読みづらくなった
手順の1つ1つを細かく細かく記録した手順の1つ1つを細かく細かく記録することには、もう1つポイントがありました。
マニュアルを読めば新人でも作業ができる、ここまでやらないと誰でもできるとは言えないだろう!
マニュアルの利用者想定は新人になりました。
それも、その新人のイメージもポンコツを想定する徹底ぶり!すごい!
(謎の声)
それでは作業手順を細かく刻みまして、新人にもやさしい甘めのソース、そして特製スパイスを混ぜたものを電子レンジにいれてチンします。
ブーン・・・チンッ♪
できあがり〜
過剰に親切で、手順数(行数)がとても多い、マニュアルが完成しました。
たとえばこんな感じ。
IPアドレスの確認方法(コマンドプロンプトを使う場合)〜普通バージョン〜
- コマンドプロンプトでipconfigを実行
- IPv4アドレスの値を確認する
IPアドレスの確認方法(コマンドプロンプトを使う場合)〜とある部署バージョン〜
- スタートメニューを開きます
- プログラムの一覧からWindowsシステムツール フォルダを展開します
- コマンドプロンプトをクリックして起動します
- 黒い画面が起動したことを確認します
- ipconfigと入力します
- Enterキーを押します
- 以下に表示される〜(略)
うわあぁぁぁあ!!
マニュアルを読めば新人でもできるということは、「新人はPCのこと知らないかもしれない」という最悪の状況を想定するんです。
(一応IT系の会社なんですけど、弊社?)
そこから、操作1つ1つの意味がわからなくても日本語が読めたら手が動かせるように書かないと、マニュアルがある意味がないだろう、とのことです。
これねー・・・実際、言われたときは筋が通ってるように感じるんですよね。
ということで、
「新人でもわかる!とある部署のお仕事マニュアル!(¥1,000+税)」が刊行されました。
人間工程自動化=HPA(Human Process Automation)。※造語です
今でも思うのですが、やってることが人間工程自動化だなぁと。
RPAでやりたいことを人間でやってただけですね。
ちなみに、RPAの用語説明です 👉【用語解説:RPA】PC操作を自動化!基本情報技術者試験に出る用語
さて、このマニュアルを使って業務をするとどうなるか。
不要な情報が多すぎて読みづらいので読み飛ばしが横行するようになる。
さすがに読むのが面倒になります・・・クリック!クリック!エンター!って書かれてたら、ちょっと覚えた人にはノイズにしかなりません。
だけど、マニュアルの一部を読み飛ばすとミスするようになるんですよね。
「なんでマニュアルがあるのに読み飛ばすんじゃー!」と怒られるわけですが、私には正常な人間の心の動きだと思いますけどね。
現場猫さんがうまく表現してくれるやつですね。
マニュアルは絶対印刷、ハンコ文化、内容訂正が抑圧される悪循環
PCで作業をするんだから、マニュアルは手元にあったほうがいいよね。
それならマニュアルは印刷しておかないとね!
こんなドヤ顔をしていたか、こんなことを言ったのかどうかは知りませんが、作られたマニュアルは全部印刷されていました。
印刷していたもう1つの理由は、Bossの承認印が押されていないとマニュアルが完成しない(使えない)から。
ハンコ文化の悪い部分がこれでもか!と現れています。
Bossによって細かく隅々まで、操作1つ1つの意味がわからなくても日本語が読めたら手が動かせるかどうかチェックされます。
型式試験かな?(わかる人だけわかってくれたらいいです)
そんなマンボウの成魚 になれるほどの確率を突破して、マニュアルは無事リリースされます。
しかし、使い始めるとボロボロと問題が見つかるわけです。
完璧なマニュアルを作るのって難しいですからね。
マニュアルん問題が見つかると、直さないといけません。
そんなことは全員が理解していますが、理解していてもできないんです。
Bossの承認印が押されていないとマニュアルが完成しない(使えない)
圧倒的にめんどくさいわけです。
作成したマニュアルに間違いがあったことを報告すれば怒られる
修正しようとすると、もう一度、Bossの承認印をもらう手続きが必要
圧倒的にめんどくさいわけです。
ただし、マニュアルの内容が間違えたままだと業務に支障がでますので、苦肉の策がとられます。
印刷されたマニュアルに大量の手書きメモが書き込まれ、大量の付箋メモが貼ってごまかします。
しまいには、修正の修正なのだー、とかなってきて、既に貼られている付箋の上に新しい付箋を貼って効果を打ち消しつつ、新しい効果を被せるようになります。
これを付箋マウンティングと呼びます。(呼びません)
これが良くて、修正版のリリースがだめだったのは本当に今になっても謎ですね。
誤解のないように補足しておきますが、マニュアルを作る時に、校閲や承認が入ることが完全に悪いわけじゃないんです。
不特定多数が使用するものであれば、誤解がある表現や不適切な表現はない方がいいですし、誤字脱字もあってはいけませんから、念入りに重箱の隅をつつけばいいと思います。
たとえば、役所が作成する申請書の入力方法が書かれたマニュアルや、大手チェーンの業務マニュアルなどが当てはまると思います。
しかし、とある部署のメンバーが使用するだけのマニュアルにそこまでやる必要があるのか?
ない、なかった。
(おまけ)マニュアルの印刷方法へのこだわりに多様性があって面白かった
印刷することが当然という価値観のなかにいると、「どうやって印刷するか」が工夫ポイントになります。
こういった本質のズレっていうのはどんなことでもあることなので、この良し悪しについては一旦横に避けるとして。
マニュアルの印刷方法が作成者によって違いがあって面白かったのでいくつかご紹介します。
- 片面印刷派
文字サイズを大きめに、読みやすさを大切にしている人。
裏面は気づかれないかもしれないから、リスクヘッジとのこと。
2穴のパンチを使ってファイリングする場合が多い。
- 両面印刷派
基本的には片面印刷派と同じ考え方だけど、「裏面真っ白って紙がもったいない」「見開きで読める」と考えた人が派生した。
別名思考停止派。
「とりあえず両面で〜」ということで、この印刷方法をする人が多かった。
(生ビールかよ)
- 2in1+両面印刷派
紙の節約と紙1枚から得られる情報量を多くしたかった人。
文字や画像は小さくなるけど、そんなものはちょっと頑張ればなんとかなるという考え方。
ファイルに閉じると使いづらくなるという側面もあったので、ホチキス(ステープラー)で留めて、クリアファイルに挟むことが多い。
- プリンターの製本機能を利用
プリンターの製本機能を使って印刷。
一部の変態が好んで使っていた。
彼らに言わせると、
「最後にホチキス(ステープラー)と消しゴムを使って綴じる瞬間がたまんねーんだ」
「本になってたらマニュアルっぽさ、オーラが強くなるだろう」
とのこと。
少数派だったが、マニュアルの品質向上への情熱は他よりもあった。
マニュアル化の徹底により、若手メンバーにスキルがつかなくなった
無事に、とある会社のとある部署では作業の大半をマニュアル化することに成功しました。
「新人でもわかる!とある部署のお仕事マニュアル」があれば、誰でも作業ができます。
右を見ても、左を見ても、後ろを見ても、何らかのマニュアルを見ながら作業をしています。
そんなとある部署にもマニュアル化しづらいような非定型業務や新規の業務があります。
それらは、マニュアルを作った中堅の人たちが中心に取り組みます。
マニュアルがある作業は若手がやって、中堅以上の人たちの時間を作るのだー!
っていう普通の年功序列な部署です。(給料そんなにかわらんけど)
つまり、若手には定型作業ばかりが割り当てられます。そのため、作業中のほとんどの時間で思考停止してます。
そんな若手にスキルが身に付くはずがありませんでした。
そもそも、スキルアップをしようと思えるのは、以下の2つがセットになってるときだと思います。反対に、どちらか欠けたり、どちらもなければ、性根がよっぽどの努力かストイックでもない限りつゆほども思いませんよね。
- スキルをつけた方が自分にとってメリットがあることに納得している
- 「できないけど、完全に無理じゃなさそう」な挑戦をしている
とある会社のとある部署のマニュアル化と業務の配分はどうだったかというと、
- スキルは不要(だって新人にも(略))
- できないことはまずやらせてもらない(だって新人にも(略))
だめだこりゃ。
結果的に、新人も2年目も3年目もほとんど能力に差はありませんでした・・・
これは、中堅と若手の関係が、社員とアルバイトみたいな関係だったと言わざるをえないですね。
書いてて悲しくなってきました・・・
マニュアル化できない(しづらい)業務をやりたがらなくなった
超・年功序列な部署⭐︎
(給料そんなにかわらんけど)
これが、時に残酷なことがあります。
マニュアルで思考停止しながらも機嫌良く働いていた若手も、数年経てば若手ではなくなります。
そして、時は訪れます。
「そろそろ、きみも中堅の人たちと同じようなこともやってもらうから」by Boss
こうなることは予測できたんじゃないでしょうか。
しかし、これには部下も黙ってはいません。
部下だって反撃します。
「それってマニュアルあるんですか」
「マニュアルどこですか」
「決まってないこと多すぎなんでできません」(←決めていくのが仕事なのに)
「溜まってる(マニュアル)作業あるので今はできません」
「なんでマニュアル作ってないんですか」
「急になんで変えるんですか」
エトセトラ エトセトラ
渋々、業務を始めたとしても、思考停止の癖がついているので、全ての工程で誰かに聞きながらじゃないと進められません。
一見、若手の態度が悪いように感じるのですが、実はそうじゃないんです。
一定年齢に達しただけで、それまでのマニュアル作業担当としてのセーフティゾーンから追い出されるのですから、反発するのも仕方がないといえなくもない。どっちなんだい
自己肯定感:ほぼ0
モチベーション:ほぼ0
そんな人材を作り上げてしまったのかもしれないですね。
まとめ
今回は、とある会社のとある部署でマニュアル化をしたことから生まれた問題にフォーカスを当てて情報共有をしました。(さすがに、誇張したりフェイクはいれてますよ!)
本当なら、マニュアル運用のオーソドックスな問題(管理方法の問題とか作成時のこととか)にも触れて、ノウハウ的なことも書こうとしたのですが、ボリュームが膨らみすぎたことと、本題とはちょっとは同じにしないほうがいいと思ったうえでバッサリしました。
まとめると、
- 手順の記録がマニュアル化として進めたので、意図目的がわからないものになった
- 新人向けを意識しすぎると、説明が細かくなりすぎて読みづらくなる
- 印刷が絶対ルールだったので、マニュアルを修正するハードルが高い
- マニュアル化を徹底した影響で、若手のスキルがつかなくなった
- マニュアル化しづらい業務をやりたがらなくなった
改めてみても、ひどい部署が出来上がってしまいましたねー・・・
繰り返しますが、これから業務を標準化・マニュアル化しようと思っている人は、絶対に問題5つは真似してはいけませんよ!
ちなみに、現在のとある会社のとある部署では全部とは言いませんが、解決に向かって進んでいます。
それぞれ、やってしまった方法に+1したり、-1したり、時には全破壊したり・・・
取り組みかたの向きを変えたことが、功を奏しています。
そういった意味では、とある会社のとある部署の失敗談ですが、あなたの役に立つんじゃないかと思います。しらんけど。
ぜひ、いいチームを作ってください!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
それでは。
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